大人のための文章教室

大人のための文章教室 (講談社現代新書)

大人のための文章教室 (講談社現代新書)

どんな仕事をする上でも、「文章を書く」という作業は避けて通れないもの。論文や企画書、報告書などの「仕事」ということですぐにイメージできるものだけでなく、メールの返信、FAX送信状、上司に渡すメモなど、仕事で文章を書かない日は絶対にありません。

これらの文章を、「どうやって書けばいいんだろう?」と悩んだことは、誰もが持つ経験だと思います。今現在悩んでいる方にも、かつて悩んだ経験がある方にも是非お読みいただきたいのが、この『大人のための文章教室』です。

著者の清水義範は、他の作家の文体をモノマネする作風で知られる、大変器用な作家。彼の書く一風変わった文章読本は、豊富な文例と面白い語り口で展開されています。手紙、小説、随筆、紀行文、実用文などの書き方の原則が、この本で身に付けることができるでしょう。

特に興味深いのは、「ワープロに踊らされるな」という筆者の主張。プロとアマチュアの手書きの文章とワープロやパソコンを使った文章の最大の違いは、「ワープロを使うと漢字が増える」ことだそうです。読みやすい文章を書きたいとは、誰もが思うことでしょう。しかし、漢字が多いかどうかまで気を使うのは、なかなか難しいものです。自分は漢字だらけの文章なんて読む気がしないのに、いざワープロで文章を書くときに、漢字だらけの文章になってしまう方は、意外と多いのではないでしょうか。あまりにも簡単に、漢字に変換できますからね。

別に作家になるわけではないから、文章読本なんて読む必要もないという方も、この本を読めば、文章への考え方がちょっとだけ変わってくると思います。そして、そのちょっとした変化が、上手に仕事を進めるヒントとなってくることは、間違いないでしょう。