鋼の錬金術師 11巻

鋼の錬金術師(11) (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師(11) (ガンガンコミックス)

11巻は、いろんな意味でターニングポイントとなっていました。


エドとアルの旅立ちのときの決意に疑問を投げかける父、ホーエンハイム。他人ならば、素直に感心するしかない家を燃やすという行為。ホーエンハイムが疑問を投げかけることによって、本当に血のつながった親子ということを読者に実感させ、なおかつ、父の偉大さまで表現している絶妙なエピソード。思わずうなりました。

そして、物語の発端への疑問。まさかこんなところにヒントが隠されているとは、夢にも思いませんでしたよ。一本とられたという感じ。

そして、原作版のテーマも見えてまいりました。

アニメ版は、錬成世界は不完全なものなので「等価交換の原則」も不完全なものである。だから、世界も人間も面白いんだ。という独自の解釈を見せてくれましたが、これは、原作の世界観を否定したということにつながります。よく原作者はアニメの製作スタッフに文句言わなかったな、と個人的には思っていました。

対する原作版では、錬成世界の真理はどこまでも正しいものであるという前提に則って、最後までストーリーが展開していくのですね。考えてみれば、原作者が血をにじむ思いをして作り上げた世界を、完全否定するわけはないのですけどね。

とにかく、アニメ版とは違った結論が出そうで、ものすごく楽しみです。果たして、原作者が考える「等価交換の原則」とは?それが明らかにされたとき、私たちは溜飲を下げることになるでしょう。

やっぱり面白すぎます、このマンガ。